column #
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「ちょうどいい」Right Sizingな時計
ボーイズサイズ

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メンズウォッチが「大きければ大きいほどカッコいい!」という潮流になってから、早10年以上。あの頃は、あらゆるメーカーの時計が年を追うごとにより大きく、より分厚く、手首の上にずっしり重いオーバーサイズになっていったものだ。他人の時計を見て、「テレビでも観られそう!?」と思ったこと、なかったろうか?

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私たちの親世代のメンズ・ドレスウォッチといえば、平均的なケース径は34mmあたりであった。それがやがて36mmになり、38mmになり、2000年代には軒並み40mmの大台を超えていった。そのように、一度は過剰を極めたオーバーサイズ競争だが、ここに来てようやく沈静化。実際、重くてゴツすぎる時計が嫌になり、「もうスマホでいいや!」と時計をしなくなった人が増えたのも、この時代のことなのだ。

メンズのドレスウォッチの主流は、かくしてまた40mmを上限とするくらいのサイズに落ち着いてきた。重すぎず、文字盤はちゃんと読みやすく、シャツの袖にもちゃんと収まる、まさにライトサイジング! メンズウォッチはようやく「ちょうどいい」サイズに行き着いたようだ。

そんな中、いま男女の垣根を越えて静かなブームとなっているのが、ケース径36mmくらいの、いわゆるユニセックス的な「ボーイズサイズ」ウォッチである。男性にとってはゴツすぎず、悪目立ちしすぎず、重すぎない「地に足の着いた実用的サイズ」として。また女性にとっては、可愛すぎず、華奢すぎず、ちょっとゴツめなサイズが「デキる女を演出するサイズ」として、これがいまの気分に「ちょうどいい」ようなのだ。

さらには、例えばロレックス「オイスター パーペチュアル」やオメガ「シーマスター」といったザ・スタンダード的な名品なら、パートナーとシェアできるという点も人気の一因なのだとか。これからは住まい同様、二人にちょうどいいものを、一緒にシェアするという時計選びがもっと広がっていくかもしれない。